
全然寝れなかったので、相当前に買って途中で挫折した小保方晴子さんの自伝『あの日』を読みました。
小保方晴子というとあの『STAP細胞』の人です。
あれだけ世間を騒がせたSTAP細胞についてよく分かってなかったし、帯の煽り文句が『真実を歪めたのは誰だ?』と書いてたので、そういうゴシップ的なことを期待したわけなんですが、何で挫折したかっていうと、冒頭からかなり詳しく実験について記載されてて、知識のない僕としたらサッパリわからずただただ辛かったわけなんです 笑
後半、読んでめちゃくちゃ後悔した
「読んでたらそのうち眠くなるか」と、軽い気持ちで久しぶりに読み返したのですが、予想以上に重かったです。
大まかに構成をいうと、前半部分は研究のこと(STAP細胞ではなく、当時どんな研究をしてたか?ということ)を事細かに解説してて、中盤ぐらいからは、相変わらず難しい研究の説明がされていると同時に、『小保方晴子』という人物の人となりが分かるようなエピソードがでてきて、僕のような科学的知識のない人間にとっても読み物として面白くなってきました。
後半からは。
そして期待してた確信部分ですが・・・
『STAP細胞騒動』以降の内容がえげつな過ぎて、軽い気持ちで読んだことをめちゃくちゃ後悔しました。
「こいつ悪い奴やな!」みたいな個々の人物について思うこともありますが、そこは自伝なんでどうしても小保方さん目線になってしまうから、置いておきます。
唯一ハッキリと分かるのは、『世間』っていう目に見えない集団の怖さでした。
この本で一番感じた『世間』の怖さ
もともと感情移入しやすいタイプなんで、小保方さんより寄りの目線になっていることはたしかですが、何が真実なのか?というのは結局当事者たちしか知り得ません。
でも部外者でも確実に分かる範囲では、騒動後に連日メディアからバッシングされてたり、SNSで画像を使われたりしてネタ扱いをされているのを目にした記憶はあります。
そして本当の原因は分かりませんが、笹井芳樹教授が自殺したのも事実なわけで・・・。
本書にも書いてますが、今の世の中は【一度悪のレッテルを貼られた人に対しては何をしても良いような風潮】がありますよね。
小保方さんの件に関わらず、何かの事件あって報道が加熱していく中で、事件自体には関係ない『容姿や言動への誹謗中傷』じみたことや、『人間性そのものを否定する』ようなことが当たり前にテレビや雑誌などで目にすることも少なくありません。
実際僕もワイドショーをつけていることがありますが、『自称専門家』や『コメンテーター』という役割で出てる人が「憶測ですが」「たぶん」というような言葉を使いながら、感情的に批判しているシーンや、嘲笑するような場面をよく見ます。
人の一生を左右するような事について『憶測で話す』のって罪じゃないのか?と思うんですよね。
ましてや反論できる相手が居ない場で好き勝手な事を言うのって、相手が一般人だろうが何かの容疑者だろうが、人としてやってはいけない事なんじゃないのかな?と違和感あるんですよね。
実際、後からその憶測が外れてたとしてもそれに対する謝罪なんて聞いたことがないですしね。
まぁとにかく、社会正義を振りかざしてる側に人としてのモラルが見えない事が多いんですよね。
マスコミだけが悪いのか?
じゃあ『マスコミだけが悪いのか?』っていうと、そういうわけでもなく、すべて僕たち個人個人が作り上げてる『空気感』だと思うんですよね。
今ってSNSを通じて自分の意見を気軽に発信できるじゃないですか?
こういうブログもそうですけど。
でも、気軽に呟いた一言が相手を自殺に追い込む可能性があるわけで。
言ってることはめちゃくちゃ当たり前なんですけど、分かってる人は少ない気がするんですよね。
たとえば僕がそこまで関心が無い事であっても、何かの報道を見て「○○(個人名)は頭おかしい」だとか「気持ち悪いな」とか書くとするじゃないですか。
その一言自体は「死ね」とか「殺してやる」に比べて殺意や憎しみがあるほどのコメントではないですし、その発言で他の人から「なんて事書いてるんだ!!」と言われることもないと思います。
発言した僕自身、その一言が相手に伝わってるとも思わないと思いますし、きっとみんなが盛り上がってる話題に対して『自分も乗っかって言ってみただけ』ぐらいの感覚だと思います。
冷静に考えると、そういうノリで誹謗中傷するような事を言えてしまう今の世の中が怖いですよね。
だって発言した側の気持ちはどうあれそういうコメントが集まれば、言われた側からすると『世の中の多くの人から攻撃されてる』と感じるのは想像できますし、それは集団でのイジメと同じですよね。
ネット上で誹謗中傷の発言をしている人たちの多くが、そこまで相手を憎いと思っているのか?って言うと、実際はほとんどの人はそんな事ないと思います。
でも、だからこそ言った方に罪の意識なんて無いでしょうし、余計にタチが悪いですよね。
個人個人はただの『軽口』のノリで相手を傷つけているわけですから。
そういう世の中だから「ネット上の誹謗中傷が〜」というのが問題視されてたりしますけど、思うに僕も含めてほとんどの人は自分もそういった発言をしている事に無自覚なんじゃないのかな?と思います。
「ネット上の誹謗中傷は本当にひどい!」と思っている人が、実は自分も同じような事に加担しているなんて事は全然あり得ると思っています。
そういったネット上の軽口レベルの誹謗中傷を見て「世間の関心が高い!」と勘違いしたマスコミが、これまた勘違いした社会正義を振りかざしまくって更に叩いてる気がするんですよね。
「批判殺到!」や「炎上!」とかいう見出しのニュースとか当たり前になってますけど、じゃあ果たして1人1人がその件についてどれほど関心があるのか?というと、大抵の場合は無関心に近いくらい興味なかったりする事が多いじゃないですか。
僕もそうですけど、そもそも内容すら把握してなかったり。
マスコミもマスコミで、一般人と変わらないノリで誹謗中傷レベルの記事を書いたりしますし、そういった記事を見て、今まで事件(や騒動)に関心が無かった人やSNSなどを見ていない人が悪いイメージを持つことで更に敵視する人が増える、というような悪循環になっている気がします。
極端な話、「きもい」「ブサイク」みたいな発言であっても、いじめに加担している自覚を持つべきなだなと思いました。
「想像力」足りてる?
そういえば書きながら思い出したんですが、以前営業の仕事をしていた時に、70代ぐらいの女性が言っていた言葉が心に残ってるんですよね。
その日たまたま世間話をしながら2人でテレビを眺めていた時に、殺人事件か何かのニュースがやってて、その時に何の気なしに僕が「ここ最近、立て続けに物騒なニュースが流れてますね」と言うと、その女性は「きっとね、今の世の中は想像力が足りない人が増えてきてるのよ」と言った言葉が何故かずっと残っていて、それを思い出しました。
僕も今回、小保方さんの自伝を読んで『世間から追い詰められる側の恐怖』を間接的にも垣間見たことで、改めてインターネットでの誹謗中傷の恐ろしさを再確認したと共に「日頃の言動に気をつけないとな」と思いました。
いじめとか本当に胸糞悪いと思いますけど、自分も無自覚で加担してたとしたら嫌じゃないですか。
その時その女性が言った言葉は『殺人事件の犯すような凶悪犯』に対してのものだとばかり思っていましたが、自分自身にも当てはまるな、と。
そもそも「気をつけないと」とか思ってる時点で僕自身も日頃の想像力が足りてないんですよね、既に。
これからの子どもたちってどうなるんやろ?
最早小保方さんの自伝とはかけ離れた話になりますけど、当たり前にSNSを使いこなす子どもたちが増えてきた今、これからどんな風になっていくのか単純に興味があるんですよね。
というのも、今って『失敗が許されない世の中』じゃないですか。
重〜軽犯罪にかかわらず、なんだったら別に犯罪していなくても『変な人』が居たらすぐに動画撮影されて世界中に拡散される時代じゃないですか。
そんなのに慣れてない僕からしたら、Twitterのタイムラインの流れてきた『迷惑行為してる人の動画』が拡散されているのを見るたびに恐怖心が煽られるんですよね。
「別に自分がやましい事なかったら心配せんでもいいやろ!」と言われそうですけど、あぁいう動画って前後の状況が分からないじゃないですか。
単純に顔が晒されてる点もそうですけど、それに加えて一部分だけを見て批判してるコメントなんか見ると余計怖いんですよね。
なんか『先に動画撮影して拡散したもん勝ち』みたいな状態というか。
下手したら自分は悪くないのに顔晒される可能性があるわけですよ・・・怖くないですか?
百歩譲って、本当に100%迷惑行為している側が悪かったとしても、それを撮影して一生インターネット上に残るような形にするのって許される事なんですかね?
その人は一生笑い者にされるわけですよ?これも個人の価値観の話になりますけど、晒されている迷惑行為の多くって、別に『殺人』のような取り返しのつかない事でもないじゃないですか?
迷惑行為も勿論よくないですけど、それでも『その時誰かを嫌な気分にさせた程度』なんだったら、むしろ動画を拡散してる方が罪深い気がするのは僕だけですか?
まぁとにかく、ある意味そんな”ギスギスした”世の中で『”失敗”しない子ども』が増えるのか、それとも『SNSでの誹謗中傷ぐらいではビクともしないメンタルの子ども』が増えるのか、どうなるんでしょうね。
たまに僕が今小学生だったら、きっと動画で晒されてるような事はしてただろうな、とか思ったりします 笑
きっと同じように思ってる大人も多いんじゃないでしょうか。
少しでもそう思う人は、誰かの誹謗中傷とか迷惑行為の動画とかを興味本位で拡散したり、批判するようなコメントをする前に、一度考えた方が良いんじゃないでしょうか?
無理やり話を自伝に戻して・・・STAP細胞とは?
ただただ『誹謗中傷』の話ばっかりしましたが、STAP細胞とは結局何だったのか?
結論から言うと・・・
僕には全く理解できませんでした!! 笑
いや・・・内容難しすぎました!!
実験の話が分からなさすぎて、読んでる途中に何度も心が折れそうになりました。(きっと分かりやすく書いてるとは思うんですけど、僕にはイメージすらも浮かびませんでした 笑)
この本の事が全部事実だと仮定すると、小保方さんは【純粋に研究に打ち込んでたのに、大人たちに振り回された可哀想な人】【世間の追い込み方(とくにマスコミ)がえげつない】という2つですね、大まかな感想は。
不思議と今でも実験をしている夢を見る。
からはじまる最後の一文は、自伝の締めの文章とは思えないほど読んでて辛かったです。
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